電験三種はかなり難易度が高い試験です。

しかし電験三種を取得することで電気工事の監督が可能になるため、電気設備従事者ならキャリアアップのためにも、いずれは取っておきたい資格の一つです。

この記事では電験三種の勉強方法や免状取得後の年収、仕事内容、就職先などを解説します。

電験三種の受験を考えている方、電験三種がどのような資格なのかを知りたい方は、本記事を参考にしましょう。

 

電験三種とは電気工事の保安と監督のための資格

3932129_s

電験三種とは電気工事の保安と監督のための資格で、正式名称を「第三種電気主任技術者試験」といいます。

電験三種に合格することで「第三種電気主任技術者免状」の取得資格が得られます。

電気主任技術者の仕事内容

第三種電気主任技術者の免状を持っていると、発電所や変電所の他、工場や商業施設、ビルなどに設置されている電気設備の保守や監督が可能になります。

電気設備の保守や監督などの管理業務は誰でもできるわけではなく、電気主任技術者でなければ従事できません。

つまり有資格者だけに従事することが認められた「独占業務」となります。

電験三種のメリットは転職の幅が広がること

4192896_s

電験三種合格のメリットは、電気主任技術者の需要が大きいので転職の幅が広がることです。

電気が通っていないビルや商業施設はまずありませんし、ビルや商業施設などの建物がこの先なくなることはありません。

よって建物の電気設備のメンテナンスはかなり需要が大きく、また需要が残り続けるのです。

しかも需要に対して、電気主任技術者の人数が足りていません。

そのため業務経験なしであっても「電気主任技術者免状を持っていればOK」という求人もたくさんあるのです。

また電気主任技術者は発電所や、新エネルギー関連の研究施設からの需要もあります。

「電気を使う建物すべてが現場になる」と思うと、需要の大きさがイメージしやすいのではないでしょうか。

このように電験三種に合格することで、転職の幅がぐっと広がるのですね。

電験三種と電験二種、一種の違い

電気主任技術者には第三種以外にも第二種、第一種があり、それぞれの試験は電験二種、電験一種と呼ばれています。

第一種~三種の違いは、監督できる事業用電気工作物で扱える電圧の違いです。

  • 電験三種:電圧が5万ボルト未満(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
  • 電験二種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 電験一種:制限なくすべての事業用電気工作物

試験の難易度としては、第三種→第二種→第一種の順に上がっていきます。

電気主任技術者と電気工事士の違い

909455_s

電気主任技術者は電気設備の工事の際に保安の管理や監督に従事し、電気工事士は現場で実際の電気工事に従事する違いがあります。

試験においては電気工事士の方が電気主任技術者よりも難易度が低いため、取り掛かりやすいのが特徴。

そのため電気工事が未経験で計算が苦手な方は、いきなり電験三種の試験を受けるのではなく、電気工事士から取得して徐々にステップアップして電験三種を目指す選択肢もよいでしょう。

電験三種取得者の年収例

電気主任技術者への転職後の年収は、300万円から500万円がボリュームラインとなります。

未経験OKの募集も多いですが、年収は300万円~が多い印象です。

とはいえ未経験でも就職できるのが電験三種のメリットなので、むしろプラスと考えましょう。

関連業務経験者になると400万円~、電験三種以外の資格(電気工事士や建築物環境衛生管理技術者など)を持っていると500万円~、というイメージです。

ちなみに「部長クラスの経験(部下のマネジメント)がある電気主任技術者」だと年収700万円を超える求人にも巡り会えるので、年収に関しては「電験三種を取得しても案外稼げない」というよりも「電験三種があると将来の選択肢が広がる」と考えるのがよいでしょう。

 

電験三種の試験概要

729175_s

電験三種について以下の通り概要を紹介します。

  • 試験内容
  • スケジュール
  • 申込方法
  • 試験場所
  • 合格基準
  • 科目別合格制度

電験三種の試験内容

電験三種の試験科目は全部で4科目。

「理論」「電力」「機械」「法規」があり、すべての科目に合格することで電験三種合格となります。

2021年の電験三種のスケジュール

電験三種の試験日は年に一度きり。

  • 受験案内配布:5月上旬頃
  • 申し込み:【郵送】5月17日(月)~6月3日(木)
    【インターネット】5月17日(月)午前10時から6月3日(木)午後5時まで
  • 試験日: 8月22日(日)
  • 合格発表:10月予定

電験三種の申込み方法

電験三種は郵便かインターネットで申込みが可能です。

ただ郵便の場合、受験案内冊子は大型書店などに取りに行く必要があります。

手軽さの面ではインターネットでの申込みがおすすめです。

【郵便】

郵便では以下の要領で申し込みが可能です。

  • 必要な物:受験案内冊子内の払込取扱票
  • 受験手数料:5,200円(非課税)
  • 支払方法:ゆうちょ銀行(手数料は別途必要)
  • 締め切り:申込み最終日の消印まで有効

【インターネット】

インターネットでは以下の要領で申し込みが可能です。

  • 必要な物:インターネット環境
  • 受験手数料:4,850円(非課税)
  • 支払方法:銀行振込、クレジットカード決済、コンビニ決済、ペイジー決済
  • 締め切り:申込み最終日の17時まで

電験三種の試験場所

電験三種の試験場所は全国どこの都道府県でも受験が可能です。

申し込む際にどこの都道府県で受験したいのか選べますが、実際の試験会場までは選ぶことができません。

そのため「職場が東京都内で、自宅が神奈川県」といった場合、試験当日はどこから会場に向かうのかを考慮して都道府県を選ぶ必要があります。

合格基準

電験三種の合格基準は各科目60点以上で合格となります。

しかし年度によって試験が難しいこともあるため、その場合は合格点が引き下げられることも多いです。

合格基準については、合格発表時に公表となります。

そのため自己採点時に60点に一歩届かなかった場合でも、合格基準が引き下げられていれば合格となるので希望を捨てずに合格発表を待ちましょう。

電験三種は科目別合格制度あり

電験三種は科目別合格制度があり、一度の試験で4つの科目すべてに合格する必要はありません。

科目別合格制度とは一度目の受験で不合格ながら、科目単体では合格した科目があったとき、再受験の際に2年だけ合格した科目の受験を免除できる制度です。

つまり初年度の試験で1科目だけ合格した科目は、翌年度と翌々年度までは申請することで、その1科目は試験が免除されるのです。

まとまった勉強時間を取りづらい社会人には嬉しい制度ですね。

 

電験三種の難易度は高い

電験三種の合格率は例年10%未満で、一般的に難易度が高めの試験です。

年度 申込者(人) 受験者(人) 合格率
令和2年(2020年) 55,408 39,010 9.80%
令和元年(2019年) 59,234 41,543 9.30%
平成30年(2018年) 61,941 42,976 9.10%
平成29年(2017年) 64,974 45,720 8.10%
平成28年(2016年) 66,896 46,552 8.50%

(参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

電験三種の合格率がここまで低い理由の一つに「受験資格がない」事が挙げられます。

単純に誰でも受けられるがために、落ちる人も多いのです。

関連記事:電験三種の難易度は高い|年度別合格率と、合格するために大切なこと

 

独学で電験三種は合格可能か

1234786_s

とはいえ電験三種は合格率がわずか10%未満の資格のため、独学は一部の人以外にはおすすめできません。

もしあなたが「電気工事の実務を知らず、勉強も得意ではない、勉強のための時間もそこまで多くは捻出できない」状況ならば、合格率10%未満が実際のあなたの合格率になるからです。

具体的には、電験三種は出題範囲が広大なので全体像が見えづらい点が、独学の難易度を上げています。

また電験三種は年に一度しか試験がないため、長期スパンの計画と、その計画を粛々とこなす根気が必要になります。

よほど意思が強い方、もしくは自分で試験のノウハウや解答のコツを見抜ける方、実務をかなり熟知していて職場で電験三種対策講座が開かれるような方以外は、プロに勉強方法や試験のコツを教わるのが無難でしょう。

関連記事:電験三種の独学が難しい理由|合格をあきらめたくない方向けの勉強方法も解説

 

お得な電験三種講習会のご案内【月額2,980円~】

Close up view of simple workspace with laptop, notebooks, coffee cup and tree pot on white table with blurred office room

電験三種について、電験三種の試験難易度や合格率、各科目の勉強法や試験問題の傾向など、具体的にまとめてご紹介しました。

電験三種は国家資格の一つであり、合格までの道のりは決して易しいものではありません。

しかし頑張って電験三種に合格すると、あなたの転職の幅はぐっと広がります。

昨今の景気や社会情勢を考えると、長期的に安定して需要がある職種は魅力的ですよね。

ちなみに日本エネルギー管理センターでは電験三種対策の講習会を行っています。

「今から勉強を始めるけど、そもそも今まで電気に関わってこなかった」という方から「あと十点あれば合格できる!」という方までレベル別に3つのクラスに分けられていて、今のあなたにあった知識をお教えします。

【初級クラス】:

「今から勉強を始めるけど、そもそも今まで電気に関わってこなかった」という方から「一度勉強したけど、基礎からもう一度基礎から勉強したい」方向け

【中級クラス】:

初級クラスを卒業した方、簡単なA問題を自力で解ける方を「時間をかければ自力で過去問にて合格ラインを取れる」レベルに持っていく

【地獄の特訓】:

「あと十点あれば合格できる!」という方が確実に60点以上取れるようなラインに持っていく

詳細はこちらの紹介ページをご覧ください。

さらに2021年から、低価格の月額制オンライン講座がスタートしました。

上記3つのクラスすべての講義映像を収録した動画が、なんと月額2,980円~見放題なのです。

あなたが受けられる講義は2020年度の講義、合計500時間を超えます。

また2021年分の講義も順次公開予定なので、最新情報もバッチリ押さえられます。

さらに受講期間中であれば、授業の内容・過去問などについての講師への質問はメールにて月に5回まで受付可能です。

しかもお得な6ヶ月コース、12ヶ月コースも設定されており、月額費用をさらに下げることも。

興味のある方はぜひこちらの講座紹介ページから内容を確認しましょう。