令和5年(2023年)の第三種電気主任技術者の試験日程が発表されました。

前年度からの大きな変更点は、CBT方式と筆記方式のどちらかを選択して受験できるようになったことです。

近年、制度改正が続いている電験三種。

  • 令和4年度(2022年)で試験回数が年1回→2回へ増加
  • 令和5年度(2023年)からCBT方式が選択可能へ

この記事では、令和5年度第三種電気主任技術者の試験日程の紹介と試験の申込方法、注意点などについて解説します。

合格の鍵となる科目別合格制度や、CBT方式のメリット・デメリットについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:電験三種とは|2021年の試験概要や難易度、独学が可能かについても

 

 

令和5年度(2023年)電験三種の試験日程

第三種電気主任技術者の試験(電験三種)は年2回実施されます。

【令和5年度上期試験の日程】
受験申込受付 令和5年5月15日(月)〜6月1日(木)
CBT方式 令和5年7月6日(木)〜7月30日(日)
筆記方式 令和5年8月20日(日)
【令和5年度下期試験の日程】
受験申込受付 令和5年11月13日(月)〜11月30日(木)
CBT方式 令和6年2月1日(木)〜2月25日(日)
筆記方式 令和6年3月24日(日)

電験一種・二種にはCBT方式は導入されません。

【令和5年度 電験一種・二種の試験日程】
受験申込受付 令和5年5月15日(月)〜6月1日(木)
筆記試験 令和5年8月19日(土)
二次試験 令和5年11月12日(日)

(出典:第三種電気主任技術者試験における CBT 方式の導入について

令和5年(2023年)から電験三種にパソコンを用いるCBT方式が導入され、筆記方式とCBT方式のいずれか好きなほうを選択して受験できるようになります。

第三種電気主任技術者試験のCBT方式のポイントは以下のとおりです。

  • 開催期間中の好きな日時を選択して受験できる
  • 試験会場は全国約200カ所から選択可能
  • 試験日の3日前まで試験会場と日時の変更が可能

詳しい利用方法などは「電験三種のCBT方式とは?メリット・デメリット」で後述します。まずは電験三種の概要を押さえましょう。

電験三種の試験科目

試験科目は4つ、すべて五肢択一のマークシート方式で出題されます。

科目 内容
理論 電気理論、電子理論、電気計測、電子計測
電力 発電所・変電所の設計や運転、送電線路・配電線路(屋内配線を含む)の設計・運用、電気材料
機械 電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用など、電力システムに関する情報伝送・処理
法規 電気法規(保安に関するもの)、電気施設管理

(参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

電験三種の試験時間

各科目の試験時間は下記のとおりです。4科目すべてを1日で受験します。

科目 試験時間
(参考スケジュール)
理論 90分
(9:15〜10:45)
電力 90分
(11:25〜12:55)
機械 90分
(14:15〜15:45)
法規 65分
(16:25〜17:30)

※参考スケジュールは令和4年度下期・筆記試験のものです

電験三種の合格点

合格基準点は、各科目100点満点中60点です。すべての科目で合格基準点以上を取る必要があります。

ただ、平均点が著しく低い科目については合格基準点の調整が入ります。実際、令和4年度の上期試験は「機械科目55点以上」「法規科目54点以上」と基準点が下がりました。

とはいえ必ず基準点の調整が入るわけではありませんので、60点以上を目指して勉強しましょう。

受験申込方法と受験手数料

電験三種(第三種電気主任技術者試験)の受験申込みは、インターネットまたは郵送でできます。

申込方法 受験手数料 支払い方法
インターネット 7,700円(非課税)
  • クレジットカード決済
  • コンビニ決済
  • ペイジー決済
  • 銀行振込
郵送 8,100円(非課税) 払込取扱票にて支払い

申込窓口は(一般)電気技術者試験センターです。

インターネットで申し込む場合は、こちらからマイページを作成して手続きします。

郵送申込は早めに受験案内を入手しよう

郵送で申し込む場合、受験案内(申込書付き)の請求が必要です。

受験案内の配布期間になったら、直接または郵送で案内を取り寄せましょう。詳しくは試験センターの案内をご確認ください。

インターネット申込みを促進するため、書店などでは受験案内は入手できません。また、配布部数には限りがあります。

試験センターのHPで申込書はアップロードされませんので、早めに動くことをおすすめします。

科目別合格制度を利用するときの注意点

電験三種は科目別合格制度が利用できます。科目別合格制度とは、1度合格した科目について一定期間試験が免除になる制度です。

この制度を利用することで、仮に4科目中2科目不合格になったとしても、次回の試験で残りの科目に合格すれば電験三種に合格できます。

ただし、科目別合格制度の利用は自動で適用されません。自分で免除申請を行う必要があり、免除申請をせずに受験した場合は最新の試験結果が優先されます。

また、免除申請の際は合格者番号が必要になるので、試験センターのHPで調べておきましょう。

CBT方式の利用は別途手続きが必要

試験をCBT方式で受験したい場合は、受験申込後にマイページから別途「CBT会場申込手続き」を行います

郵送で申し込んだ場合でも、CBT方式を利用する場合はマイページの作成が必要です。

CBT方式の手続きを期間中に行わなかった場合は、筆記方式での受験となります。

独学可能?電験三種の難易度と必要な勉強時間

電験三種の合格率は毎年8〜10%ほど。必要な勉強時間は1,000〜1,200時間と言われています。

試験範囲が広く、中学〜高校数学レベルの計算問題も多く出題されます。電気系資格としては難関資格に位置づけられるでしょう。

年度 受験者(人) 合格者(人) 合格率(%)
令和4年度
上期
33,786 2,793 8.3
令和3年 37,765 4,357 11.5

(参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

過去の合格率推移および難易度が高いとされる理由については、こちらで詳しく解説しています。

関連記事:電験三種の難易度は高い|年度別合格率と、合格するために大切なこと

1,000時間という時間を1年で取ろうと考えると、毎日3時間弱の勉強が必要です。1年で1発合格される超人の方は当センターにもいらっしゃいますが、珍しいと言えます。

とくに完全独学で勉強するとなると「理系出身者」かつ「勉強の計画立てが得意」な人でないと難しいのが現実です。

電験三種の独学についてはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:電験三種の独学が難しい理由|合格をあきらめたくない方向けの勉強方法も解説

科目別合格制度をうまく利用しよう!

電験三種は一発合格が難しい試験です。とくに日中忙しくて勉強時間が十分に取れない人は、戦略的に科目別合格制度を活用しましょう

電験三種の科目別合格制度とは?

科目別合格制度とは、科目ごとに合否判定が行われ、合格した科目については一定期間その合格がキープされる制度です。

電験三種では合格した科目が翌々年まで(最大5回連続で)試験が免除になるため、最初から2年計画で合格を目指すなどの戦略が立てられます。

ただし、科目別で合格していても、免除申請せずに次回を受験して不合格になってしまったら、その科目は以降も不合格扱いになります。

令和4年度(2022年)より試験が2回に増えてメリット拡大

2021年度まで電験三種の試験回数は年に1回でしたが、2022年以降は年2回に増えました。

「翌々年までに4科目すべて合格すれば良い」とする科目別合格制度のルールが残ったため、試験回数が増えた分だけチャンスが増えた形です。

従来は難しかった「1科目ずつ合格を狙う戦略」も可能になりました。

<例>
1年目上期:「理論」合格
1年目下期:「電力」合格
2年目上期:「機械」合格
2年目下期:「法規」合格 → 電験三種合格

受験生にとってはメリットしかない改正だったと言えるでしょう。

チャンスは増えるが気は抜けない

科目別合格制度のメリットが拡大した背景には、電気主任技術者の不足があげられます。

試験回数を増やし、合格する実力のある人に、しっかり資格を付与していこうというわけです。

とはいえ、電験三種は独占業務資格であり、仕事には危険が伴います。よって試験回数は増えても難易度は緩められていないので、気を抜かず勉強しましょう。

科目別合格制度のデメリットは、一度合格した科目を再度受験するとなってしまった場合にモチベーション維持が難しくなる点です。

長期計画が良いのか、1年で合格を目指すほうが良いのか、ご自身の性格にあった制度の使い方をしてください。

電験三種のCBT方式とは?メリット・デメリット

令和5年度(2023年)の試験よりCBT方式が導入され、全国各地の試験センターでPCを使って受験できるようになります。

試験日や会場の選択肢が増える一方で、制度切り替え期間ならではのデメリットもあります。よく内容を把握したうえで筆記かCBTかを選択してください。

電験三種のCBT方式の概要

CBT方式(Computer Based Testing)とは、指定の会場にてパソコンとマウスを使って受験する試験方式です。

電験三種のCBT方式の概要は以下の通りです。

  • 筆記試験の約1か月半前から、約4週間かけて実施される
  • 受験生ごとに問題が異なる(出題方式はこれまでと同じ)
  • 全国約200カ所で実施
  • 試験会場と受験日時は3日前まで変更可能
  • CBT方式の利用は、受験申込完了後に別途手続きが必要
  • 期間中であればCBT方式から筆記方式への変更も可能
  • 期間中にCBT方式を申し込まなかった場合は筆記方式での受験になる

ただし、CBT方式申込後に受験しなかった場合は欠席扱いとなり、筆記試験も受験できません

CBT方式のメリット

  • 試験日時・試験会場が柔軟に選択できる
  • 3日前まで変更できる
  • 勉強の進捗をみて筆記への変更も可能(期限内に限る)
  • その場で点数がわかるので気持ちが切り替えやすい

筆記方式よりも試験の自由度が高いため、仕事のスケジュールが直前までわからない人や、土日が休みではない人にはメリットがあります。

また60点以上取れているかはその場でわかると予想されるため、解答速報で自己採点する手間やストレスは減るでしょう。

CBT方式のデメリット

  • 試験時期が早まる
  • 試験対策講座を受講している場合、間に合わない可能性がある
  • 問題用紙にメモができない
  • メモ用紙や筆記用具の持ち込み可否などまだ不明点が多い

試験対策講座の多くは、筆記試験の日程にあわせてカリキュラムを組んでいます。CBT方式に勉強が間に合うか確認をおすすめします。

またCBT方式ではマウスを操作して回答するため、問題用紙に書き込んで考えるスタイルの方はやりにくさを感じるかも知れません。

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令和5年度第三種電気主任技術者の試験日程が発表されました。

令和5年から新しくCBT方式が追加され、筆記方式とCBT方式のいずれかを選択できるようになります。

CBT方式を希望する場合は、期間内にオンラインで「CBT会場申込手続き」が必要になるため、忘れず手続きしてください。

第三種電気主任技術者試験は難易度が高く、独学で合格するには長期間にわたり学習をする必要があります。

「少しでも効率的に勉強したい」という方には、日本エネルギー管理センターの試験対策講習会をご検討ください。

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詳しいカリキュラムや講習日程についてはこちらの第三種電気主任技術者講習会ページをご覧ください。