第二種電気工事士の技能試験(実技)|独学で合格するポイントを徹底解説
「第二種電気工事士の実技の勉強は、何から始めればいいの?」
「工具や練習用の材料はどれを買えばいいの?」
とお悩みの方へ、第二種電気工事士の技能試験を独学で合格する為には、まず前準備が重要です。独学には、教材選定、そして、試験で有利な施工用工具一式を揃え、また試験対策用練習キットを購入した上で、動画などで学んでいくというスタイルもあれば、オンライン講座などを活用して効率よくご自宅で一人で学習するというスタイルもあります。
本記事では「自分のペースで、自宅で学ぶ」ということにスポットを当て、効率よく自分に合ったスタイルで、最短合格を目指すための具体的な勉強法をどんどんご紹介していきます。
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目次
第二種電気工事士の技能試験(実技)の概要
試験名 | 第二種電気工事士 技能試験 |
試験会場 | 全国で受験可 (過去の試験会場についてはこちら) |
試験日 | 年2回 (7月・12月) |
受験手数料 | 9,300円 (書面申込み 9,600円) ※筆記試験の手数料も含む |
受験条件 | 筆記試験合格者 |
試験時間 | 40分(予定) |
詳しくは「令和6年(2024年)第二種電気工事士の試験日程」および(一般)電気技術者試験センターのHPをご覧ください。
ここでは、受験者が事前に把握しておくべき技能試験のポイントを解説します。
関連記事:技能試験合格までの下準備!練習スタート前に把握すべきポイントを紹介
【2025年度】試験概要
今年度における第二種電気工事士試験の日程は次のとおりです。
項目 | 上期試験 | 下期試験 |
---|---|---|
受付期間 | 3月17日(月)~4月7日(月) | 8月18日(月)~9月4日(木) |
筆記試験日(筆記方式) | 5月25日(日) | 10月26日(日) |
筆記試験日(CBT方式) | 4月21日(月)~5月8日(木)(18日間) | 9月19日(金)~10月6日(月)(18日間) |
筆記試験合格発表日 | 6月9日(月) ※CBT方式は解答非公開 |
試験日の約1カ月後 ※3月現在、試験案内未公開 |
技能試験日 | 7月19日(土)・7月20日(日) | 12月13日(土)・12月14日(日) |
技能試験合格発表日 | 8月15日(金) | 試験日の約1カ月後 ※3月現在、試験案内未公開 |
引用:電気技術者試験センター
第二種電気工事士の技能試験
技能試験合格のために、まずは試験の概要から確認していきましょう。
問題数 | 13課題のうち1課題出題 |
---|---|
出題形式 | 課題用のケーブル・器具が配布され、作品を仕上げる実技試験 |
時間 | 40分 |
試験範囲 | (1)電線の接続 (2)配線工事 (3)電気機器及び配線器具の設置 (4)電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法 (5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け (6)接地工事 (7)電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定 (8)一般用電気工作物の検査 (9)一般用電気工作物の故障箇所の修理 |
持ち物 | 筆記用具、時計、作業用工具(電動でないもの) |
合格率と難易度
第二種電気工事士の技能試験における過去5年間の合格率については、次のとおりです。合格率から技能試験の難易度をみていきましょう。
実施年度 | 上期試験 | 下期試験 |
---|---|---|
令和6年度(2024年度) | 71.0% | 69.5% |
令和5年度(2023年度) | 73.2% | 68.8% |
令和4年度(2022年度) | 74.3% | 70.6% |
令和3年度(2021年度) | 74.2% | 71.1% |
令和2年度(2020年度) | 67.9% | 72.9% |
候補問題のうち1問が本番で出題される
第二種電気工事士の技能試験では、支給される材料を使って電気工作物を作成する技能問題が出題されます。
どのような工作物を作るかは「候補問題」として試験センターのHPで公表されています。
13個ある候補問題のうち、本番で出題されるのは1問だけです。ただ、問題は試験会場で異なり、自分の会場でどれが出題されるかは当日までわかりません。
したがって、どれが出題されても合格できるよう、練習で全問をマスターしておく必要があります。
技能試験の練習は、直近の試験で出題された問題を使うとよいでしょう。試験センターのHPにて解答含めて掲載されています。
ただし、施工条件や配線図の詳細は本番で変更される可能性があるため、解答の完成図をすべて丸暗記する……というやり方は避けることをおすすめします。
工具は受験者の持ち込み
技能試験の工作で使用する工具は受験生の持ち込みです。電動工具とテスター以外は自由に使用できます。
技能試験を受験するにあたって最低限必要な工具は以下の8つです。
工具の種類 | 使用頻度(5段階) |
ケーブルストリッパー | ☆☆☆☆☆ |
圧着ペンチ | ☆☆☆☆ |
マイナスドライバー(刃幅5.5mm) | ☆☆☆ |
プラスドライバー(2番) | ☆☆☆ |
ペンチ(呼び175mm) | ☆☆☆ |
ウォーターポンププライヤ | ☆ |
電工ナイフ | ☆ |
スケール | ☆ |
どの問題でも必須で使うのが☆3以上のもの。☆1つの工具は、一応あったほうが良いものの、出番の少ない工具です。
ケーブルストリッパー以外は試験センターが作業で必要としている「指定工具」ですが、実際の作業ではケーブルストリッパーが最も活躍します。
家にまったく工具類がない方は、上記の工具が一揃い入った技能試験用の工具セットを購入するのが簡単です。ただ、選定の際にはケーブルストリッパーと圧着ペンチに注意が必要です。詳しくは後述します。
欠陥が1つでもあると不合格
電気工事士の技能試験では、40分の試験時間内に電気工作物を完成させることが必須です。
さらに、たとえ完成しても「欠陥」が1つでも含まれていると不合格になります。
欠陥とは、いわゆる施工ミスのこと。試験センターのこちらのページに欠陥と判定される基準が掲載されています。
欠陥にはさまざまな種類があります。一気に覚えようとしても難しいため、試験問題を練習しながら覚えていきましょう。
第二種電気工事士技能(実技)試験の勉強に必要なもの
技能試験の勉強をはじめるにあたって、まず必要なものは「工具」と「練習用材料セット」です。また教材は、テキストではなく動画がおすすめです。
詳しく解説します。
まずは工具をそろえよう
試験は自分の工具を持ち込んで行います。工具をそろえるにあたって、ポイントは以下の4つです。
- ケーブルストリッパーはホーザンのVVFストリッパー(P-958)を推奨
- 圧着ペンチはグリップが黄色のものを
- クリップがあると便利
- カッターナイフは自粛
ケーブルストリッパーはホーザンのVVFストリッパー(P-958)を推奨
ストリッパーは、ケーブルの外装や絶縁被覆(内装)を剥くのに必須です。メーカーからさまざまなストリッパーが販売されていますが、技能試験で使用するならホーザンの「VVFストリッパー(P-958)」を強くおすすめします。
なぜならば、写真でわかる通り「内装の3本同時剥きが可能」「ミリ単位のスケール」「工具先端が輪づくりしやすい細さ(3mm程度)」と三拍子そろっているためです。
40分という試験時間は非常にシビアなため、いちいち工具を持ち替えている余裕はありません。7〜8割の作業はストリッパー1本で作業します。
- ケーブル長さの測定
- ケーブルの切断
- ケーブルの外装・内装の剥ぎ取り
- 輪づくり
- VVRケーブルの外装剥き
ホーザンのP-958なら、どの候補問題でも必要になる上記がスムーズに作業できます。
圧着ペンチはグリップが黄色のものを
電気工事士技能試験で使用できるのは「リングスリーブ用圧着工具 JIS C9711:1982/1990/1997適合品」のみです(グリップが黄色のもの)。
圧着マークが付かないもので圧着すると欠陥扱いになるので注意してください。
試験では「中」までのリングスリーブしか出ないため、「大」に非対応の小型圧着ペンチでも構いません。
クリップがあると便利
リングスリーブの「中」を圧着するとき、ケーブルをまとめるクリップが1つあると便利です。
技能試験用に作られたホーザンの合格クリップが便利ですが、ダブルクリップやインシュロックでも代用可能です。
ただし、クリップなどを外さず作品を提出すると不合格になります。圧着したらすぐ外す癖をつけてください。
カッターナイフは自粛
電工ナイフはほとんど出番がなく、技能試験で使うだけならカッターナイフでも作業は可能です。
ただ、カッターは怪我の事故が発生しやすいため、使用は自粛してほしいとの方針が出ています(「技能試験の概要と注意すべきポイント」より)。
怪我をすると、手当の分だけ時間を消費してしまいます。試験で使用する機会が少なくても電工ナイフの使用がおすすめです。
独学なら練習用材料セットは2回分がおすすめ
ネット通販などで技能試験の練習用材料セットが販売されています。必要なケーブルやスイッチなどが全13課題分一式入っているため、1つずつ揃えるより手軽です。
独学で練習するなら、おすすめは2回セット。
- 1回目は動画を見ながら練習
- 2回目は本番同様に試験問題だけ見て練習
上記の流れで13問2回ずつ練習すれば、電気工事の経験がない人でも合格レベルまでいけるはずです。
なお、アウトレットボックスは穴空きのものを選びましょう。試験においても、アウトレットボックスは穴が空いた状態で提供されます。
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第二種電気工事士技能試験(実技)を合格するポイント
技能試験の勉強で大切なことは、とにかく手を動かすことです。練習すればするほど、早く上手に作れるようになります。
試験時間40分はあっという間です。完成させられないまま不合格となる人も少なくありません。
ここでは、合格のために押さえておきたいポイントを紹介します。
- 複線図の描き起こしは5分以内に収める
- 効率のよい施工手順を覚えよう
- 施工練習は全問2回以上をおすすめ
- 基本作業は繰り返し練習しよう
- 試験前日に欠陥条件をすべて確認しよう
複線図の描き起こしは5分以内に収める
技能試験では、まず施工条件を確認し、複線図を描くところからはじめます。
とはいえ、ここで使える時間は僅かです。どれだけかかっても5分以内には複線図を書き終えるようにしましょう。
試験の時間配分は下記が目安です。
- 複線図:5分
- 施工:30分
- 見直し:5分
問題を見ただけで、何も考えずに複線図が描けるくらいの状態まで練習しておくのが理想。
技能試験では使用可能な電線の色が黒白赤と決まっており、複線図を理解するときに便利だった色識別(様々な色で電線を識別し、同じ色の電線どうしを組めば間違えない)という時短テクニックが当日は使えません。ただでさえ、限られた40分という制限時間の中、せっかく時間を費やして描いた複線図も、実際に使用可能な電線(色)がなければ意味がありません。せっかく試験前に貴重な時間を費やし訓練してもその慣れている方法が試験で使えないとなれば、誰だって当日パニックになってしまいます。そうならない為にも、当センターでは「複線図は描かない」という独自ノウハウを提供しています。複線図を描かなくても、器具(例えば、電源からスイッチ)と電線、そして、配線の意味を理解できれば、複線図は描かなくても合格できてしまうのです。むしろ、複線図で色識別して実作業で配線の意味を考えるという二度手間や、複雑な頭の中での色識別処理がいらないので、時間の節約&ミスのリスクを抑えられます。
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効率のよい施工手順を覚えよう
電気工作物を作る手順は自由です。自分が一番やりやすい手順で効率よく作業しましょう。
ただし、途中で施工のやり直しや寸法の測定ミスが発生することもあるため、最初にケーブルを全て切るやり方はおすすめしません。
「よくわからない!」という方は、当センターの対策動画をご覧ください。ミスが発生しにくい、またはリカバリしやすい手順を紹介しています。
施工練習は全問2回以上をおすすめ
前述した通り、1周目で問題の難易度を把握し、2周目で時間内に収まるよう練習する流れがスムーズです。
候補問題は難易度に差があり、令和4年の問題だと7番が時間オーバーになりやすい難問となっています。
- 1周目で問題の難易度をメモしておいて、2周目で時間をしっかり測定する
- 不安な問題は追加の材料を買って練習する
独学の場合、上記がおすすめの練習方法です。
基本作業は繰り返し練習しよう
技能試験には、どの問題でも必要になる基本作業が2つあります。
- ケーブルの外装・内装の剥ぎ取り
- ランプレセプタクル(露出型コンセント)結線用の輪づくり
とくに輪づくりは欠陥につながりやすい箇所です。完璧に作れるよう何度も練習しましょう。
輪づくりおよびランプレセプタクルの施工のポイントについては、こちらの動画をご覧ください。
またケーブルの剥ぎ取りも、時間がかかるほど積み重なってタイムロスになります。スムーズに剥けるまで練習しましょう。
試験前日に欠陥条件をすべて確認しよう
致命的な欠陥条件は、実技の練習をしていれば自然に覚えられます。当センターの対策動画でも、やりがちな欠陥ポイントについては作業手順と一緒にお伝えしています。
ただ、うっかり見落としやすい欠陥もあるので、前日までに試験センターの「欠陥判断基準」に目を通しておくと安心です。
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技能試験(実技)当日の注意点
第二種電気工事士の技能試験は、以下の流れで進みます。
- 受験上の注意点について説明
- 材料配布
- 材料確認
- 試験スタート
- 作品の提出
トータルで1時間20分ほどの試験です。最初の説明後は入室禁止になるため、早めに会場へ到着しておきましょう。
試験当日は、練習した通りに落ち着いて作業することが大切です。ここでは、あらかじめ知っておいたほうがよい試験の注意点をお伝えします。
試験会場の机は小さめ
作業を行う試験会場の机は、会議用や大学の授業用のテーブルくらいの広さしかありません。
大きな工具箱をおけるようなスペースはあまりないため、できるだけコンパクトに、よく使う工具だけ並べて待機しましょう。
腰ベルトを装着し、出番の少ない工具を入れている人もいます。
材料の追加支給は早めに申し出る
支給材料のうち、次のものは追加支給が受けられます。
- ランプレセプタクル(露出型コンセント)用端子ネジ
- リングスリーブ
- 差し込みコネクタ
途中で失敗に気づいても、諦めずに予備をもらって完成させましょう。ただ、試験官を机まで呼んでの手渡しになるため、追加が必要とわかった時点で早めに申し出てください。
完成させるのが最重要
完成した作品の見栄えが悪くても、配線図・施工条件に従ってできていれば合格です。
逆に、未完成なら間違いなく不合格になります。
欠陥と見なされないか不安なところがあっても、試験時間がギリギリなら完成を優先させましょう。
自分のペースで自宅で学べる“技能オンライン講座” という独自の勉強スタイル
いかがでしたか?合格率や難易度からすれば、独学も決して難しくないことがお分かりいただけたと思います。中には、技能試験は初めてで少しハードルが高く感じた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、正しいやり方で練習をすれば独学でも十分に合格が狙えます。学科試験の自己採点で合格が確信できたなら、早めに工具と材料を入手して練習をスタートさせましょう。
ただ、実際に練習を進めていく中で、「これでミスなく完成できているだろうか」「これだと欠陥の判定を受けるだろうか」と不安に感じる受験生が多いのも事実です。学科試験のように明確な答えが教科書に載っていれば全く問題なのですが。。。これが「技能試験」の悩ましいところです。。。本当に自分の作品が合格基準に達しているか確認したい場合は、やはりその道のプロに判定してもらうのが確実です。最短合格を目指すのであれば、安易に独学を始める前に、プロへ相談も選択肢の一つとして考えてみてください。
日本エネルギー管理センターでは、仕事で忙しく日中は時間が取れない、あるいは「通学」ができないという方向けに、第二種電気工事士の技能試験に特化した専門オンライン講習をご用意いたしました。オンライン講習でも通学同様に講師にメール質問ができます。欠陥判断に不安のある受講者様から、自作品を写真でメールにて送っていただき、専門講師が解答するというサービスです。
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独学か受講かで今迷われているのであれば、“第二種電気工事士 技能試験対策 オンライン講座(2025年度版)” の受講をおすすめいたします。資格取得スクールを10年以上運営してきて分かってきたことですが、独学で合格する受験者の多くは、少しの不安もなく、迷ったりせず、初めから「独学」の一択です。ただ、大多数の方が、多かれ少なかれ試験に対し(特に技能試験に対し)不安を感じるものです。大事なのは、悩んで迷って時間をムダにしたり、その不安をぬぐえないままのコンディションで勉強や試験に臨むより、自己投資だと覚悟を決めてご受講いただき、プロの手を借りながら効率的に集中して勉強していただくのが、合格への一番の近道だと考えております。