「第二種電気工事士の実技の勉強は、何から始めればいいの?」
「工具や練習用の材料はどれを買えばいいの?」

とお悩みの方へ、独学で第二種電気工事士技能試験に合格するポイントを徹底解説します。技能試験対策講習への参加を迷っている方の参考にもなる内容ですので、ぜひご一読ください。

 

筆記試験から電気工事士試験に挑戦する方は、こちらの記事もご覧ください。

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第二種電気工事士の技能試験(実技)の概要

試験名 第二種電気工事士 技能試験
試験会場 全国で受験可
過去の試験会場についてはこちら
試験日 年2回
(7月・12月)
受験手数料 9,300円
(書面申込み 9,600円)
※筆記試験の手数料も含む
受験条件 筆記試験合格者
試験時間 40分(予定)

詳しくは「令和6年(2024年)第二種電気工事士の試験日程」および(一般)電気技術者試験センターのHPをご覧ください。

ここでは、受験者が事前に把握しておくべき技能試験のポイントを解説します。

候補問題のうち1問が本番で出題される

第二種電気工事士の技能試験では、支給される材料を使って電気工作物を作成する技能問題が出題されます。

どのような工作物を作るかは「候補問題」として試験センターのHPで公表されています

13個ある候補問題のうち、本番で出題されるのは1問だけです。ただ、問題は試験会場で異なり、自分の会場でどれが出題されるかは当日までわかりません。

したがって、どれが出題されても合格できるよう、練習で全問をマスターしておく必要があります

技能試験の練習は、直近の試験で出題された問題を使うとよいでしょう。試験センターのHPにて解答含めて掲載されています。

ただし、施工条件や配線図の詳細は本番で変更される可能性があるため、解答の完成図をすべて丸暗記する……というやり方は避けることをおすすめします。

工具は受験者の持ち込み

技能試験の工作で使用する工具は受験生の持ち込みです。電動工具とテスター以外は自由に使用できます。

技能試験を受験するにあたって最低限必要な工具は以下の8つです。

工具の種類 使用頻度(5段階)
ケーブルストリッパー ☆☆☆☆☆
圧着ペンチ ☆☆☆☆
マイナスドライバー(刃幅5.5mm) ☆☆☆
プラスドライバー(2番) ☆☆☆
ペンチ(呼び175mm) ☆☆☆
ウォーターポンププライヤ
電工ナイフ
スケール

どの問題でも必須で使うのが☆3以上のもの。☆1つの工具は、一応あったほうが良いものの、出番の少ない工具です。

ケーブルストリッパー以外は試験センターが作業で必要としている「指定工具」ですが、実際の作業ではケーブルストリッパーが最も活躍します。

家にまったく工具類がない方は、上記の工具が一揃い入った技能試験用の工具セットを購入するのが簡単です。ただ、選定の際にはケーブルストリッパーと圧着ペンチに注意が必要です。詳しくは後述します。

欠陥が1つでもあると不合格

電気工事士の技能試験では、40分の試験時間内に電気工作物を完成させることが必須です。

さらに、たとえ完成しても「欠陥」が1つでも含まれていると不合格になります。

欠陥とは、いわゆる施工ミスのこと。試験センターのこちらのページに欠陥と判定される基準が掲載されています。

欠陥にはさまざまな種類があります。一気に覚えようとしても難しいため、試験問題を練習しながら覚えていきましょう。

第二種電気工事士技能(実技)試験の勉強に必要なもの

技能試験の勉強をはじめるにあたって、まず必要なものは「工具」と「練習用材料セット」です。また教材は、テキストではなく動画がおすすめです。

詳しく解説します。

まずは工具をそろえよう

試験は自分の工具を持ち込んで行います。工具をそろえるにあたって、ポイントは以下の4つです。

  • ケーブルストリッパーはホーザンのVVFストリッパー(P-958)を推奨
  • 圧着ペンチはグリップが黄色のものを
  • クリップがあると便利
  • カッターナイフは自粛

ケーブルストリッパーはホーザンのVVFストリッパー(P-958)を推奨

ストリッパーは、ケーブルの外装や絶縁被覆(内装)を剥くのに必須です。メーカーからさまざまなストリッパーが販売されていますが、技能試験で使用するならホーザンの「VVFストリッパー(P-958)」を強くおすすめします。

なぜならば、写真でわかる通り「内装の3本同時剥きが可能」「ミリ単位のスケール」「工具先端が輪づくりしやすい細さ(3mm程度)」と三拍子そろっているためです。

40分という試験時間は非常にシビアなため、いちいち工具を持ち替えている余裕はありません。7〜8割の作業はストリッパー1本で作業します。

  • ケーブル長さの測定
  • ケーブルの切断
  • ケーブルの外装・内装の剥ぎ取り
  • 輪づくり
  • VVRケーブルの外装剥き

ホーザンのP-958なら、どの候補問題でも必要になる上記がスムーズに作業できます。

圧着ペンチはグリップが黄色のものを

電気工事士技能試験で使用できるのは「リングスリーブ用圧着工具 JIS C9711:1982/1990/1997適合品」のみです(グリップが黄色のもの)。

圧着マークが付かないもので圧着すると欠陥扱いになるので注意してください。

試験では「中」までのリングスリーブしか出ないため、「大」に非対応の小型圧着ペンチでも構いません。

クリップがあると便利

リングスリーブの「中」を圧着するとき、ケーブルをまとめるクリップが1つあると便利です。

技能試験用に作られたホーザンの合格クリップが便利ですが、ダブルクリップやインシュロックでも代用可能です。

ただし、クリップなどを外さず作品を提出すると不合格になります。圧着したらすぐ外す癖をつけてください。

カッターナイフは自粛

電工ナイフはほとんど出番がなく、技能試験で使うだけならカッターナイフでも作業は可能です。

ただ、カッターは怪我の事故が発生しやすいため、使用は自粛してほしいとの方針が出ています(「技能試験の概要と注意すべきポイント」より)。

怪我をすると、手当の分だけ時間を消費してしまいます。試験で使用する機会が少なくても電工ナイフの使用がおすすめです。

独学なら練習用材料セットは2回分がおすすめ

ネット通販などで技能試験の練習用材料セットが販売されています。必要なケーブルやスイッチなどが全13課題分一式入っているため、1つずつ揃えるより手軽です。

独学で練習するなら、おすすめは2回セット

  • 1回目は動画を見ながら練習
  • 2回目は本番同様に試験問題だけ見て練習

上記の流れで13問2回ずつ練習すれば、電気工事の経験がない人でも合格レベルまでいけるはずです。

なお、アウトレットボックスは穴空きのものを選びましょう。試験においても、アウトレットボックスは穴が空いた状態で提供されます。

技能試験(実技)の勉強にテキストは不要

技能試験用のテキストも販売されていますが、細かい作業が多いため、動画や講習会で勉強したほうが作業のポイントがよくわかります

日本エネルギー管理センターでも、技能試験向けの対策動画(無料)をYouTubeで公開しています。

「この動画のおかげで合格できた」とご好評いただいていますので、ぜひ独学用の教材としてご活用ください。

第二種電気工事士技能試験(実技)を合格するポイント

技能試験の勉強で大切なことは、とにかく手を動かすことです。練習すればするほど、早く上手に作れるようになります。

試験時間40分はあっという間です。完成させられないまま不合格となる人も少なくありません。

ここでは、合格のために押さえておきたいポイントを紹介します。

  • 複線図の描き起こしは5分以内に収める
  • 効率のよい施工手順を覚えよう
  • 施工練習は全問2回以上をおすすめ
  • 基本作業は繰り返し練習しよう
  • 試験前日に欠陥条件をすべて確認しよう

複線図の描き起こしは5分以内に収める

技能試験では、まず施工条件を確認し、複線図を描くところからはじめます。

とはいえ、ここで使える時間は僅かです。どれだけかかっても5分以内には複線図を書き終えるようにしましょう。

試験の時間配分は下記が目安です。

  • 複線図:5分
  • 施工:30分
  • 見直し:5分

問題を見ただけで、何も考えずに複線図が描けるくらいの状態まで練習しておくのが理想。全13問の複線図解説動画もぜひご活用ください。

なお、当センターの技能講習会では複線図を描かずに最短で施工する方法をお教えしています。興味のある方は、第二種電気工事士講習会ページから詳細をご確認ください。

効率のよい施工手順を覚えよう

電気工作物を作る手順は自由です。自分が一番やりやすい手順で効率よく作業しましょう。

ただし、途中で施工のやり直しや寸法の測定ミスが発生することもあるため、最初にケーブルを全て切るやり方はおすすめしません。

「よくわからない!」という方は、当センターの対策動画をご覧ください。ミスが発生しにくい、またはリカバリしやすい手順を紹介しています。

施工練習は全問2回以上をおすすめ

前述した通り、1周目で問題の難易度を把握し、2周目で時間内に収まるよう練習する流れがスムーズです。

候補問題は難易度に差があり、令和4年の問題だと7番が時間オーバーになりやすい難問となっています。

  • 1周目で問題の難易度をメモしておいて、2周目で時間をしっかり測定する
  • 不安な問題は追加の材料を買って練習する

独学の場合、上記がおすすめの練習方法です。

基本作業は繰り返し練習しよう

技能試験には、どの問題でも必要になる基本作業が2つあります。

  • ケーブルの外装・内装の剥ぎ取り
  • ランプレセプタクル(露出型コンセント)結線用の輪づくり

とくに輪づくりは欠陥につながりやすい箇所です。完璧に作れるよう何度も練習しましょう。

輪づくりおよびランプレセプタクルの施工のポイントについては、こちらの動画をご覧ください。

またケーブルの剥ぎ取りも、時間がかかるほど積み重なってタイムロスになります。スムーズに剥けるまで練習しましょう。

試験前日に欠陥条件をすべて確認しよう

致命的な欠陥条件は、実技の練習をしていれば自然に覚えられます。当センターの対策動画でも、やりがちな欠陥ポイントについては作業手順と一緒にお伝えしています。

ただ、うっかり見落としやすい欠陥もあるので、前日までに試験センターの「欠陥判断基準」に目を通しておくと安心です。

技能試験(実技)当日の注意点

第二種電気工事士の技能試験は、以下の流れで進みます。

  1. 受験上の注意点について説明
  2. 材料配布
  3. 材料確認
  4. 試験スタート
  5. 作品の提出

トータルで1時間20分ほどの試験です。最初の説明後は入室禁止になるため、早めに会場へ到着しておきましょう。

試験当日は、練習した通りに落ち着いて作業することが大切です。ここでは、あらかじめ知っておいたほうがよい試験の注意点をお伝えします。

試験会場の机は小さめ

作業を行う試験会場の机は、会議用や大学の授業用のテーブルくらいの広さしかありません。

大きな工具箱をおけるようなスペースはあまりないため、できるだけコンパクトに、よく使う工具だけ並べて待機しましょう。

腰ベルトを装着し、出番の少ない工具を入れている人もいます。

材料の追加支給は早めに申し出る

支給材料のうち、次のものは追加支給が受けられます。

  • ランプレセプタクル(露出型コンセント)用端子ネジ
  • リングスリーブ
  • 差し込みコネクタ

途中で失敗に気づいても、諦めずに予備をもらって完成させましょう。ただ、試験官を机まで呼んでの手渡しになるため、追加が必要とわかった時点で早めに申し出てください。

完成させるのが最重要

完成した作品の見栄えが悪くても、配線図・施工条件に従ってできていれば合格です。

逆に、未完成なら間違いなく不合格になります。

欠陥と見なされないか不安なところがあっても、試験時間がギリギリなら完成を優先させましょう。

独学での合格が不安なときは日本エネルギー管理センターへ

第二種電気工事士の技能試験は、実際に電気工作物を作り上げる実技の試験です。

電気工事の経験がない方にはハードル高く感じますが、きちんと練習すれば独学でも十分に合格が狙えます。筆記試験の自己採点で合格が確信できたなら、早めに工具と材料を入手して練習をスタートさせましょう。

ただ、実際にやってみると「これでミスなく完成できているだろうか」「これだと欠陥の判定を受けるだろうか」と不安に感じる方もいるはずです。とくに前期の技能試験で完成したはずなのに不合格となった方は、何がダメだったのか気になりますよね。

本当に作品が合格基準に達しているか確認したい場合は、講習会で第三者に判定してもらうのが確実です。

日本管理センターでは、候補問題13課題をすべてマスターできる2日間の講習会を開催しています。

  • 複線図を書かないでできる最短の方法を伝授
  • メイン講師と補助講師がプロの厳しい目で作品をチェック

合格できるよう、改善点を含めてしっかりフィードバックします。

詳細および講習日程については、こちらの第二種電気工事士講習会ページをご確認ください。