第二種電気工事士は年間20万人もの受験者がいる人気の資格です。

第二種電気工事士の資格を取得することで、一生モノの知識と技術が身に付くため、仕事探しには困りづらくなるでしょう。

今回は、第二種電気工事士について仕事内容や資格を取得するメリット、試験の内容について詳しく解説します。

収入や将来性についてもお伝えしますので、就職や転職に役立つ資格を探している人は、ぜひ最後まで確認してください。

第二種電気工事士とは

第二種電気工事士とは

第二種電気工事士は、電気工事を行う際に必要な資格です。経済産業省が定める国家資格でありながら学歴、職歴、就労経験が不要のため、誰でも受験できます。

近年の巣ごもり需要によるエアコン工事やマンション建設の増加などに伴い、第二種電気工事士の必要性は高まっています。

第二種電気工事士の資格は一度取得すると更新の必要がなく、現場で経験を積めば一生モノのスキルとして使えるため、将来の安定を求める人に向いています。

第二種電気工事士のできること|第一種電気工事士との違い

第二種電気工事士は一般住宅や店舗など、小規模施設の電気工事に携われます。

具体的には、屋内の配線や照明の工事、コンセントの設置や交換、エアコン設置工事など600V以下で受電する設備の電気工事を行えます。

また規定内であれば、自宅のリフォームやDIYで電気設備の設置や工事が可能です。

 

そのほか第二種電気工事士には、現場代理人をする資格があります。現場代理人とは、電気工事における現場監督のような立場のこと。

電気工事に詳しくないと指示が出せないため、実務経験なしでは厳しいものの、資格に加え現場で経験を積むことで現場代理人として活躍できます。

 

第二種電気工事士には次のステップアップとして、「第一種電気工事士」の資格があります。第一種電気工事士と第二種電気工事士との違いは、工事のできる作業範囲です。

第一種電気工事士は、第二種電気工事士のできる範囲に加え、最大電力500キロワット未満までの工事に携われます。

工事のできる範囲 主な工事の現場
第二種電気工事士 600V以下で受電する小規模設備の工事 一般住宅や小規模店舗など
第一種電気工事士 500キロワット未満の大規模な電気工作物の工事 第二種電気工事士の現場に加え工場・ビル・大型商業施設など

ただし第一種電気工事士は3年間の実務経験が必要です。また試験の難易度も上がるため、まずは第二種電気工事士の資格を取得してから検討するとよいでしょう。

第二種電気工事士を取得するメリット

第二種電気工事士を取得する主なメリットは就職や転職、収入の増加です。

電気工事に携わる会社は、第二種電気工事士がいないとそもそも電気工事ができません。したがって資格があれば就職や転職で有利に働きます。

また会社によっては資格手当が支給されるため、資格を取る前と仕事内容は同じでも、収入の上がる可能性が高いといえます。

そして資格があれば、自宅のリフォームやDIYに活かせるのも嬉しいポイントでしょう。

第二種電気工事士の仕事内容

第二種電気工事士の仕事内容

仕事内容として代表的なものは、建築現場での電気工事です。

一般住宅や小規模な店舗、オフィスの工事が多く、主にコンセント、照明、エアコンの設置工事を担当します。経験を積めば、現場代理人として現場を取り仕切る業務にも携われるでしょう。

そのほか、ビルメンテナンスの仕事もよくあります。ビルの電気に関する保守点検を請け負い、不具合がないをチェックし、問題があれば修理など適宜対応します。

電気工事士が向いている人については「第二種電気工事士とは|仕事内容や向き・不向きについても」にて解説しているので、気になる方はぜひチェックしましょう。

第二種電気資格の難易度と合格率

平成23年から令和4年までに第二種電気工事士試験を受けた人数と合格者は以下のとおりです。

第二種電気工事士試験合格率

画像引用:一般財団法人 電気技術者試験センター

分かりやすいように、平成23年と令和3年を比べてみましょう。

<平成23年と令和3年の比較>

筆記試験申込者・免除者 技能試験申込者 合格者 合格率
平成23年度 約12万7千人 約8万人  約5万2千人  65%
令和3年度 約20万人 約12万4千人 約8万4千人 67%

10年間で受験者が筆記試験で約7万5千人、技能試験は約4万4千人、合格者は約3万2千人も増加しています。

過去10年の合格率にさほど変化はありませんので、難易度は同じくらいでしょう。受験者の7割近くが合格しているため、難易度は低めといえます。

関連記事:第二種電気工事士の12年間の筆記・実技別合格率の推移

第二種電気工事士の資格試験

第二種電気工事士の資格試験

受験資格に定めはないため、年齢や実務経験等に関係なく誰でも受験が可能です。

通常は筆記試験に合格してから、技能試験へと進みます。

ただし一定の基準をみたしていれば、筆記試験は免除されます。

筆記試験免除者について詳しくは電気技術者試験センターが掲載しているの「筆記試験の免除」をご参照ください。
一般財団法人 電気技術者試験センター:令和6年度 第二種電気工事士試験 受験案内

申込方法と受験費用

申込方法は、インターネットと書面のふたとおりあります。

【インターネットで申込】

電気技術者試験センターのホームページから、マイページを作成すると受験申込ができます。

受験手数料の9,300円を以下の方法で期限内に支払いましょう。

インターネット申込における受験手数料の支払い方法は4つ。

  1.  銀行振込
  2. クレジットカード決済
  3. コンビニエンスストア決済
  4. Pay-easy(ペイジー)決済注:各種手数料は負担する必要があります。

【書面で郵送して申込】
受験申込書を入手するには、返信封筒に210円の切手を貼り「第二種電気工事士(上期or下期)試験受験案内 請求」と朱書きして、電気技術者試験センターに郵送する必要があります。

受験申込書が届いたら必要事項を記入し、顔写真を貼った上で再び電気技術者試験センターに郵送した後、受験手数料の9,600円をゆうちょ銀行にて支払いましょう。

インターネットの申込と異なり、書面での申し込みは、支払い方法がゆうちょ銀行に限定されます。

どちらの方法でも問題ありませんが、書類の請求や支払いの手間を考慮すると、インターネットでの申込がオススメです。

また電気技術者試験センター本部も新型コロナウイルスの影響から、インターネットの申込方法を推奨しています。

受験申込書の入手方法や受験申込方法について、詳しくは下記のページをご参照ください。

関連記事:令和6年(2024年)第二種電気工事士の試験日程|申込方法や注意点も紹介

関連記事:【2021年度】第二種電気工事士試験会場と過去の会場一覧|日程についても

筆記試験

筆記試験は午前と午後の2回実施されますが、選択はできません。制限時間は1時間30分です。

四肢択一方式のマークシート方式なので、解るところからどんどん進めていきましょう。

試験会場で使用できる用具は以下のとおりです。

  • HBの鉛筆又はHBの芯を用いたシャープペンシル、鉛筆削り
  • プラスチック消しゴム
  • 定規
  • 色鉛筆、色ボールペン、蛍光ペン、マジック
  • 時計(電卓機能、スマートウォッチ等の通信機能を持つもの、アラームなど音が出るものは使用できません)
  • ストップウォッチ(音が出ないもの)
  • 眼鏡、ルーペ

試験会場で使用できないものは主に次のふたつ。

  • 電卓
  •  ボールペン

試験の出題範囲は以下のとおりです。

科目  範囲
電気に関する基礎理論 ①電流、電圧、電力及び電気抵抗
②半導体及び絶縁体
③交流電流の基礎概念
④電気回路の計算
配電理論及び配線設計 ① 配電方式
② 引込線
③ 配線
電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 ① 電気機器及び配線器具の構造及び性能
② 電気工事用の材料の材質及び用途
③ 電気工事用の工具の用途
電気工事の施工方法 ① 配線工事の方法
② 電気機器及び配線器具の設置工事の方法
③ コード及びキャブタイヤケーブルの取付方法
④ 接地工事の方法
一般用電気工作物の検査方法 ① 点検の方法
② 導電試験の方法
③ 絶縁抵抗測定の方法
④ 接地抵抗測定の方法
⑤ 試験用器具の性能及び使用方法
配線図 配線図の表示事項及び表示方法
一般用電気工作物の保安に関する法令 ① 電気工事士法、同法施工令、同法施工規則
② 電気設備に関する技術基準を定める省令
③ 電気用品安全法、同法施工令、同法施工規則及び電気用品の技術上の基準を定める省令

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター:令和6年度 第二種電気工事士試験 受験案内

技能試験

技能試験は支給される材料を使用し、配線図で与えられた問題を40分の制限時間内に完成させる方法で行われます。

工具の貸し出しはないため、練習等で使い慣れたものを必ず持参しましょう

電動工具以外の工具はすべて使用できます。

指定工具として必須のものは、以下の5点です。

  •  ペンチ
  • ドライバ(プラス・マイナス)
  • ナイフ
  • スケール
  • ウォータポンププライヤ及びリングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997適合品)

試験の内容は以下のすべてか、一部について行われます。

  1. 電線の接続
  2. 配線工事
  3. 電気機器及び配線器具の設置
  4. 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  5. コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  6. 接地工事
  7. 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
  8. 一般用電気工作物の検査
  9. 一般用電気工作物の故障箇所の修理

第二種電気工事士の資格を独学で取る勉強方法

第二種電気工事士の資格を独学で取る勉強方法

第二種電気工事士の資格はそれほど難易度が高くないため、独学でも取得が可能です。ここではオススメの勉強方法を3つお伝えします。

実技試験対策は以下の方法以外に、Amazon等で販売されている自作キット等を活用すると、理解が深まるでしょう。

関連記事:第二種電気工事士を独学で合格する勉強方法|おすすめテキストも紹介

書籍

筆記試験のテキストは、出題科目の解説と試験に出そうな過去問題がピックアップされたものを選びましょう。

技能試験のテキストは写真やイラスト、図を多用している方が効率よく学習できます。

DVDの付属する書籍だとさらにイメージが湧きやすく、コストパフォーマンスがよいためオススメです。

「いちばんやさしい 第2種電気工事士【筆記試験】 最短テキスト&出る順過去問集 改訂新版」は写真やイラストが多く、初心者にも分かりやすいので、初めて第二種電気工事士の勉強をする人にピッタリ。古いバージョンも販売されているため、最新版を選択するようにしましょう。
いちばんやさしい 第2種電気工事士【筆記試験】 最短テキスト&出る順過去問集 改訂新版

過去問題

過去問題は、電気技術者試験センターの公式サイトにて公開されています。

2022年7月の時点で筆記、技能ともに2009年〜2022年(技能は2021まで)まで用意されているため、いくつかの年をクリアすれば、試験の傾向が読めるはずです。

少なくとも3回は過去問題を解くようにしましょう。

勉強サイトの活用

電気機器を扱うメーカー等が、自社のサイトで学習用のコンテンツを用意しています。

業界は人手不足が続いているため、人材の育成に力を入れており、有益なサイトが多いです。

工具メーカーが公開しているサイトでは、技能テスト用に初心者にも使いやすい工具セットを販売しているので、工具選びに迷ったら購入してもよいでしょう。

第二種電気工事士を取るために必要な勉強時間

第二種電気工事士を取るために必要な勉強時間

試験を合格するために必要な勉強時間は、筆記・技能ともに40時間ほど(合計80時間ほど)が目安です。

平日の5日間を毎日勉強に充てるなら、1日1時間で約4か月、2時間なら約2ヶ月で必要な知識が身に付きます。

あまり時間をかけすぎると、最初に学んだところを忘れてしまう可能性があるため、長くても4ヶ月ほどで終わるようにしましょう。

第二種電気工事士の年収と将来性

第二種電気工事士の年収と将来性

見習いの数年間は、決して高い給料とはいえません。

しかし現在は電気工事士の需要が高いため、上昇傾向にあります。また経験を積み責任者になれば、収入は安定するでしょう。

第二種電気工事士の平均収入(千円未満は四捨五入)

就職時 就労1年 就労2年 就労3年 就労10年 就労20年
平均月収 19万2千円 22万2千円 24万3千円 25万3千円 31万3千円 39万1千円
平均年収(月収に賞与及びその他の特別給与を加えた概算額) 282万8千円 331万9千円 357万1千円 369万1千円 480万1千円 575万7千円

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査
参考:厚生労働省 職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)

※上記の月収は、厚生労働省の職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)に基づき、月24日勤務の1日7時間労働と仮定して計算しています。

平均収入を見てわかるように、未経験でも第二種電気工事士の資格を取得し、就職すればある程度の安定した収入を得ることが可能です。

また電気工事士の仕事は、今後もまだまだ増え続けます。電気工事士の作業内容は資格を有する者しか行えないため、需要は減りません。

さらに次のステップとして、第一種電気工事士や電験三種などの資格を取得すれば、これまで以上に収入を上げたり、独立したりと可能性が拡がります。

このように第二種電気工事士の資格は将来性が高いため、毎年たくさんの人が資格試験を受けています。

【国家試験】第二種電気工事士を取得し手に職をつけよう

【国家試験】第二種電気工事士を取得し手に職をつけよう

収入や物価が不安定な現代において、国家資格の第二種電気工事士は「十分な収入を安定して稼げる仕事」として幅広い年代から注目を浴びています。

まじめに電気工事士の仕事を続ければ年収400万円を軽く超え、さらに上級の資格を取得すれば大幅に収入を増やすこともできるため、将来性も高いといえます。

資格取得によって広がる将来性の割に試験の難易度は低めなので、独学でも2ヶ月ほど集中して学べば、一発合格も十分あり得るでしょう。

「安定した仕事につきたい」「努力や勉強次第で収入が上がる仕事をしたい」と考えるなら、第二種電気工事士の資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

時間がなく独学は難しい場合は「日本エネルギー管理センター」の試験講習会がオススメです。

2日間の講習で、筆記試験と技能試験のポイントを網羅し、一発合格を目指します。

講習の費用や日程について詳しくは講習会ページでご確認ください。