2022年から第三種電気主任技術者試験(電験三種)の制度が変更になります。

試験回数が年2回に増えて科目別合格制度がより使いやすくなるため、変更点をきちんと把握して戦略的に勉強しましょう!

この記事では、新試験制度のポイントと科目別合格制度の活用方法について解説します。

 

どこが変わる?電験三種の2022年からの試験制度まとめ

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項目 新制度 旧制度
年間の試験回数 2回 1回
受験日 選択可 選択不可
テスト方式 マークシート式またはCBT方式 マークシート式

科目(4科目)と科目別合格制度の有効期間(3年間)は変更ありません。

また詳細については、2021年度中に電気技術者試験センターが決定するとのことです。

今回の制度変更で特にポイントになるのが、年間の試験回数増加とCBT方式の導入です。

CBT方式とはComputer Based Testing(コンピューター・ベースド・テスティング)の略で、テストセンターへいってパソコンから回答する試験方式を指します。すでに日商簿記やITパスポート試験などで導入されています。

CBT方式は、受験生・試験センター双方にメリットがある試験方式です。

  • 都合のよい日時と場所を選んで受験できる
  • 災害などのトラブル発生時でも柔軟に対応できる
  • 出題される問題が受験生ごとにランダムにできるため、不正防止になる

電験三種は全国で受験できますが、試験会場は試験センターから指定されます。受験生はエリアまでしか選べず、受験票が届くまで会場がわからない不便さがありました。

関連記事:「電験三種の過去の試験地と試験会場一覧|試験当日の注意点を紹介

しかし、新試験制度では一定期間内の複数の試験日・時間帯から受験日時を選択できる仕組みとし、受験機会を平日にも拡大する方向。(引用:2021年4月12日「電気新聞」より)と発表されています。

もしテストセンターでの受験となれば、試験日時だけでなく会場選択の改善も期待できるでしょう。

一方で、CBT方式はパソコン画面に表示される問題にマウスやキーボードで回答するため、人によっては使い難く感じるかもしれません。

現時点での発表では、

  • 従来のマークシート式も選択できる
  • CBT方式は2023年度からの導入を目指して詳細を検討中

とのことなので、一気に変更はされないでしょう。あまり心配せずに続報を待ってください。

 

制度変更の背景

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そもそも、なぜ電験三種の試験が変更になるのでしょうか?その理由は、端的にいうと少子高齢化による人手不足懸念の高まりです。

経済産業省の発表によると、将来的に電気主任技術者の人材が不足すると予想されています(参考:経済産業省「電気保安人材を巡る課題の検討状況について」より)。

数年前から実務経験の年数短縮など人材を増やすための対策案が議論されており、今回の試験変更も人材確保が狙いです。

1年に1回の試験、しかも試験日時を決め打ちにされては、仕事の状況や個人の事情で受験できない人も出てきます。しかし、電気主任技術者の仕事の性質上、安易に合格基準を緩めるわけにもいきません。

そこで、試験機会を改善して受験生の母数を増やし、合格者の質を落とさずに有資格者を増やす方向へ舵を切ったわけですね。

 

新制度で科目別合格制度がより使いやすくなる!

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CBT方式がどうなるかなど見えない部分はありますが、基本的に受験生にとってポジティブな制度変更といえるでしょう。

というのも、受験機会が増えると科目別合格制度がより使いやすくなるからです。

働きながら勉強する人が多い電験三種。限られた勉強時間のなかでも、科目別合格制度をうまく活用できれば合格の可能性が高まります。

ここからは、電験三種の科目別合格制度について解説していきます。

電験三種の科目別合格制度とは?

科目別合格制度(科目合格留保制度)とは、その年の受験で合格した科目はその後の2年間の受験が免除される仕組みです(参考:一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験」より」)。

電験三種の受験科目は4つ。試験範囲も広く、一度ですべての科目に合格できる人ばかりではありません。

そこで、科目別合格制度を利用して次のような戦略が取れるわけです。

<科目の取得例>

  • 1年目:理論と機械に合格
  • 2年目:電力に合格
  • 3年目:法規に合格

3年以内にすべての科目に合格すれば、第三種電気主任技術者の資格が得られます。

新制度での科目別合格制度の活用方法

今回の試験制度変更で、科目別合格制度の期間が3年のまま受験機会が2倍に増えます。

従来では、例え3年の時間があるとはいえ試験は年1回。1年に1度のチャンスへ向けてモチベーションを保つのは、並大抵のことではありませんでした。

しかし、今回の制度改正でチャンスが半年に1回になり「2年計画で、1科目ずつ集中して制覇する」といった戦い方ができます。

<新制度での科目の取得例>

  • 1年目前期:理論に合格
  • 1年目後期:機械に合格
  • 2年目前期:電力に合格
  • 2年目後期:法規に合格

もし途中で不合格になっても、科目別合格制度の有効期間は3年なので2回はリベンジのチャンスがあるわけです。より1科目集中がしやすくなりますね。

 

科目別合格制度を利用する際のポイント

科目別合格制度は受験生にとって心強い制度です。

そもそも電験三種は難易度の高い試験のため、はじめから2、3年計画で合格を目指す人も珍しくありません。

関連記事:「電験三種とは|仕事内容や試験概要、難易度を解説

とはいえ利用する際は少し注意が必要です。

制度に甘えすぎると合格が遠ざかる

科目別合格制度をうまく活用できれば合格しやすいのは確かです。

しかし「一度に全科目合格しなくてもよいから」と油断していると足元をすくわれます。

なぜなら、試験回数が増えても試験の難易度が下がるわけではないからです。

1年目で2科目合格したとしても、翌々年までに残りの2科目を合格できなければ、その次の年からはまたゼロに戻ります。

年数 取れた科目 取れてない科目
1年目 理論・電力 機械・法規
2年目 機械 法規
3年目 (なし) 法規
4年目 免除科目取り消し!全科目の再合格が必要

3年ごとにゼロからスタートを繰り返すのが最悪パターンです。再受験となるとモチベーションの維持も難しいので、下手すると一生受からない可能性も……。

制度に甘えすぎるリスクも承知した上で、科目別合格制度をうまく利用しましょう。

最初から科目を絞るのは非効率

「2年かけて合格したいから、難しい法規から取ろう!」と最初から科目を絞るのは逆に非効率です。

電験三種の出題範囲は広大で、また各科目が互いに少しつづ関係しています。

例えば、法規は他の科目を勉強してからのほうが理解しやすいでしょう。電力と機械も並行して進めた方が覚えやすくなります。

電験三種の勉強は、すべての基礎になる理論からはじめ、電力・機械→法規と進めましょう。

4科目の傾向は下記の通りです。

  • 法規:合格率が10%以下でもっとも難しい
  • 機械:毎年の難易度に差がある
  • 電力:ここ数年は難化傾向
  • 理論:合格率10%以上で他3科目よりは簡単

(各科目の合格率の詳細は「電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説」に記載しています)

全科目の範囲を把握した後に科目別合格制度を利用して最難関の法規から取ると、残りの2年間に少し余裕ができるでしょう。

必ず科目合格留保者として申込む

科目別合格制度を利用したい人は、必ず「科目合格留保者用の申込書」で申し込みましょう。

前回の受験結果は、申請しない限り有効になりません。もし普通に申し込みをしてしまうと下記のように結果が上書きされてしまいます

  • 1回目の受験:「法規」に合格
  • 2回目の受験:科目別合格制度の申請をせずに受験→結果、法規が不合格→免除取り消し!

科目合格留保者用の申込書には「合格証明書の番号」を書く欄がありますので、きちんと確認しましょう。

なお、合格証明書の番号が不明の場合は、早めに電気技術者試験センターへ問い合わせてください。

 

試験制度の変更点をきちんと把握して勉強しよう

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電験三種の試験制度が2022年より変更されます。

  • 試験が年2回へ
  • 受験日時が一定期間から選択できるようになる
  • CBT方式の導入

詳細は2021年度中に詰めるとのこと。

今回の変更で試験回数が増えるため、科目別合格制度がより使いやすくなります。科目を絞る戦略も取りやすくなるため、勉強時間が限られている人は積極的に利用したいですね。

なお日本エネルギー管理センターでは、あなたのレベルに合わせた3つの講座を開講しています。

  • 【初級クラス】はじめて電気を勉強する人向けに基礎力を養うコース
  • 【中級クラス】初級の知識をベースに、演習問題や過去問を解くコース
  • 【地獄の特訓コース】試験を直前に控えた人へ、合格を確実にするためのコース

上記に加え、2021年より月額2,980円のオンライン動画受講コースも開講しました。

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オフライン講座である「初級コース」〜「地獄の特訓コース」までの講座のアーカイブが定額で見放題になります。

見られる講義の時間はなんと500時間以上!

「初級コースでまずは全科目を勉強した後、中級クラス以上の動画で理論と機械に集中しよう」のような使い方ができますので、科目別合格制度を有効利用したい人には特におすすめです。

興味のある方はぜひこちらの講座紹介ページから内容を確認してください。