今回は、送電線の多導体方式についてお話しします。

154kV以上の超高圧送電線では、送電線の電線本数を一導体ではなく2~6本の導体で構成する多導体方式が採用されています。

送電線の電位が高くなるとコロナ放電が大きくなり、コロナ損やコロナ雑音などの問題が顕著になってきます。この対策として外径の大きいACSR線などを用いる対策が取られますが、この方法だと限界が生じます。そこで、電線を複数本に分割することによりコロナ放電を防止する方式が取られています。

また、多導体方式を用いることにより線路リアクタンスが20~30%減少するため送電容量も2割程度増加します。

このように、多導体方式は非常にメリットの大きい方式のため超高圧送電線のほとんどに採用されています。

ただし、多導体方式を採用した場合は導体間にスペーサーを設ける必要があります。並行導体に同一方向の電流が流れると導体相互間に吸引力が働き、大きな電流が流れると導体同士が接触、等価的に一本の導体となってしまい多導体にする意味がなくなってしまいます。ですので、多導体方式の送電線には必ずスペーサーが取り付けられているのです。

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送電線を見かけた際は、是非観察してみてください。

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