電気主任技術者とは、電気工事の現場監督や電気設備の保安・点検をする人のことです。

電気主任技術者は誰でもなれるわけではなく、特定の資格が必要になるため人気の職種となっています。

このページでは、電気主任技術者の業務内容やなり方について解説します。試験の難易度や電気主任技術者の年収についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

電気主任技術者とは

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電気主任技術者とは、電気工事の現場や電気設備の保安点検に従事し、その責任を負う役職のことです。

電気主任技術者になるには資格が必要になるので、誰でもなれるわけではありません

また資格の取得の難易度が高いことに加え、現場での電気工事には電気主任技術者を選任する必要があるため、一度資格を取得すると就職、転職には困りにくくなる資格と言われています。

電気主任技術者のメリット1:独占業務

電気主任技術者が人気である理由の一つは、独占業務だからです。

独占業務とは資格がないと従事できない業務のことを言います。

というのも事業用の電気設備の管理や電気工事の監督などをする際には電気事業法の第43条により「主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない」と決められており、事業者は電気主任技術者の選任なくして電気設備の工事や維持ができず、資格のない人を選任することもできないのです。

 

つまり資格さえ取ってしまえば、活躍の場が至る所に用意されているのです。

電気主任技術者のメリット2:安定した職種

電気主任技術者のメリットは安定した職種である点も挙げられます。

ビルは都会や田舎問わず、至る所に数多く立ち並んでいますよね。

そのビル一棟一棟に電気設備があり、保安・点検には電気主任技術者が必要になります。またビルは古くなれば建て直しの必要が生まれ、その電気工事の監督にも電気主任技術者が必要になるのです。

そして、すべてのビルが今後なくなることは現実的にはないでしょう。

むしろ電気自体の需要はどんどん増しています。

つまり電気主任技術者は、将来をある程度約束された数少ない仕事に就くための資格の一つ、とも言えるのです。

電気主任技術者のメリット3:初心者や高齢でも就労できる

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電気主任技術者の3つ目のメリットとしては、資格さえとってしまえば業界初心者や高齢であっても就労できる点があります。

原因は電気主任技術者の人材不足

不足の具合は経済産業省が2017年に実施した「電気施設等の保安規制の合理化検討に係る調査」では2030年に第三種電気主任技術者が2000人不足する、という報告もされているほどで、業界として深刻な問題です。

原因は電気主任技術試験の難易度の高さなどが挙げられます。しかし電気工事自体は有事の際に社会に与える影響の大きい工事であり、人命に関わる事故が起こる可能性もある、とても責任重大なものです。簡単に電気主任技術者の人手不足は解決しないでしょう。

 

以上から、電気主任技術者は「資格さえ取ってしまえば、就労には困らない資格」と言われています。

 

ちなみに電気主任技術者はさまざまな会社から引く手数多なので、転職も比較的簡単です。

詳細は「電験三種は転職で有利って本当?有利になる理由と実際の仕事内容を紹介」にて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

電気主任技術者の業務内容

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電気主任技術者の業務内容は主に次の5つです。

  • 電気工事の現場監督
  • 電気設備の保安・点検
  • 電気設備の修理
  • 電気設備の更新
  • その他雑務

【電気工事の現場監督】

大きな現場では電気主任技術者が電気工事の現場監督を行います。

ある程度大きな現場になると複数の電気工事の施工業者が現場に入るのですが、施工業者はそれぞれに任された部分を受け持つのみ。

電気工事の全体像の把握と指示が電気工事主任者の仕事です。

 

工事期間中は工事が滞りなく進んでいるかを管理し、工事完了後は要件をクリアしているか、きちんと正常に動作しているかチェックも欠かさずに。もし重大な問題に発展すると、責任問題にもなります。

【電気設備の保安・点検】

日常の点検や、年次の点検など、電気設備の保安・点検も電気主任技術者が行います。

チェック項目はその時々によって異なりますが主に以下の通りです。

  • 電流値や電圧値、絶縁抵抗値の測定
  • 配線のネジの緩みの確認
  • 非常用電源の動作チェック
  • 電気設備内部の清掃

これらを電気主任技術者が日々点検してくれているおかげで、電気設備がきちんと稼働しているのですね。

【電気設備の修理】

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電気設備の修理も電気主任技術者が対応します。

電気主任技術者本人が電気工事士の資格を持っている、もしくは電気工事士の資格保持者が社内にいる場合はその場で直します。

しかし現場に資格保持者がいない・故障が大規模だった場合には、電気主任技術者が業者の手配を行います。

 

なお電気主任技術者でよく挙がる「仕事上の大変なポイント」の一つが、夜間や休日の呼び出しがあること。生産ラインなどで大きなトラブルがあったら、連休中でも深夜でも電話がかかってきてしまうのです。

【電気設備の更新】

電気設備はいつか寿命を迎えます。

しかし寿命を迎え故障の瞬間を待つのでは、いざ故障したときにビル中の電気が止まってしまい損害が出てしまいます。ただの故障で済むのならまだしも、最悪火災に発展するケースも。

そのため電気設備は故障の前に更新する、予防保全という考え方が一般的です。

 

そして電気設備の更新計画を考えるのは、電気主任技術者の仕事です。

【その他雑務】

電気主任技術者は上記の大きな責任を伴う業務以外にも、さまざまな業務を担当します。

ちょっとした電子機器(テレビやプリンタ)の修理や蛍光灯の交換、電気設備のまったく関係ない掃除や草むしりなど、いわゆる「雑用」のような仕事を言われるケースもあるようです。

第一種、二種、三種の違い

電気主任技術者には、第一種、第二種、第三種の3つがあります。

第一種はすべての電気設備の工事監督や保安に携われ、第二種、第三種となるに従って担当できる現場の規模が小さくなります。具体的には以下のとおりです。

  • 第三種:電圧が5万ボルト未満(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
  • 第二種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 第一種:制限なくすべての事業用電気工作物

 

とはいえいきなり第一種を受けることはできないので、まずは第三種電気主任技術者試験(電験三種)の勉強をしましょう。

関連記事:電験三種とは|仕事内容や試験概要、難易度を解説

 

電気主任技術者になるには

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電気主任技術者になるには、次のふたつの方法があります。

  • 試験を受ける
  • 認定校を卒業する

試験を受ける方法

電気主任技術者になる最もメジャーな方法が、試験を受ける方法です。

第一種、第二種は一次試験と二次試験の二度の受験をクリアする必要があり、第三種は一次試験のみです。

認定校を卒業する方法

電気主任技術者になるには、「電気事業法の規定に基づく電気主任技術者認定校」を卒業する方法もあります。

認定校を卒業する方法で免状を取得する方法は以下の通りです。

  • 認定校卒業する
  • 実務経験を積む
  • 申請する

詳細は「電験三種を試験免除で取得する方法|認定取得のメリット・デメリット」にて徹底的に解説しています。認定校一覧も確認できるので、興味のある方はぜひご覧ください。

 

電気主任技術者と電気工事士の違い

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電気主任技術者と電気工事士の違いは、担当する業務です。

電気主任技術者は主に電気工事の現場監督や電気設備の保安を担当するのに対し、電気工事士は実際の電気工事を担当します。

電気主任技術者が電気工事士の資格を持っていれば電気設備の修理をすることもありますが、電気主任技術者が必ず工事までしなくてはならない、という決まりはありません。

 

電気主任技術者と電気保安技術者の違い

電気保安技術者は「電気設備の保安をする技術者、責任者」を指す言葉であり、事実上電気主任技術者を指すこともあります。しかし電気保安技術者という資格は、実は存在しません

正確な定義がなく、現場での使われ方はさまざまです。

 

電気主任技術者資格の取得難易度

電気主任技術者資格の取得難易度は、第一種・第二種・第三種ともかなり高めです。

もちろん二次試験のある第一種や第二種に比べると、第三種の難易度は低めといえます。しかしそれでも毎年の合格率は10%程度。合格率だけでいうなら司法試験よりも低いレベルです。

 

第三種電気主任技術者試験(電験三種)が難しい理由は以下の3つです。

  • 出題範囲が広いので網羅的な勉強が必要
  • 連続して同じ問題が出ない
  • 計算問題にコツが要る

詳細は「電験三種の難易度は高い|年度別合格率と、合格するために大切なこと」にて解説しているので、ぜひご覧ください。

 

電気主任技術者の年収

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電気主任技術者の年収は第三種で300〜500万円程度がボリュームゾーンです。

あまり額面として多いわけではありませんが、定年後もこの給与水準を保っている人もいることを考えると、悪くない条件ではないでしょうか。

 

年収は基本的には実務経験が長かったり、電験三種以外の資格を持っていたりすると高くなる傾向があります。また第三種よりも第二種、第一種の方が高く、第一種には年収1,000万円を超えるような求人も出回ることも(要管理職経験)。

上を目指そうと思うと、とことん目指せるのが電気主任技術者のいいところでもあります。

年収アップのコツは「電験三種は意味ない」は誤解!資格のメリットと年収アップのコツを紹介にて解説しているので、興味のある方はぜひどうぞ。

 

電気主任技術者になりたいなら日本エネルギー管理センターまで

電気主任技術者になりたい人は、まずは第三種電気主任技術試験(電験三種)に合格する必要があります。

ただ一番難易度の低い電験三種とはいえ、「学生時代理系だったし、結構勉強得意なタイプでした」という人以外は独学で合格を目指すのはなかなか困難です。

関連記事:電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説

 

そして電験三種なら「日本エネルギー管理センター」で勉強するのがおすすめ!

日本エネルギー管理センターの電験三種

電験三種の勉強方法としては、独学以外にも次の3つがあります。

  • オフラインの講習会
  • Zoomなどを使って対面で講座をする通信講座
  • 収録動画を自分のペースで視聴し勉強するオンライン講義

日本エネルギー管理センターではそれぞれの講義スタイルに対応していますが、一番おすすめはオンライン講義です。

※それぞれの特徴は「電験三種の勉強は通信講座?コスパで選ぶならオンライン講座がおすすめ」にて解説しメリットデメリットを比較しているので、自分に合った勉強方法が知りたい方はぜひどうぞ。

Close up view of simple workspace with laptop, notebooks, coffee cup and tree pot on white table with blurred office room

日本エネルギー管理センターのオンライン講義がおすすめの理由は、高品質な講義を格安で視聴できること。

「はじめて電気について勉強する」という初心者から「あと数点足らなかった」ような経験者まで、日本エネルギー管理センターではさまざまな方に対してオフラインの講習会をしているのですが、月額2,980円(税込)だけでそれらの収録映像が見放題

受講できる講義は2019年、2020年分の講義ですでに500時間以上、もちろん2021年の講義も順次アップロードされていきます。

 

従来であれば電験三種の講座の費用は数万円を下りません。その費用を節約するために多大な時間をかけて独学しようという人が多かったのですが、月額2,980円であればもはや受講しない方が損。2,980円で買えたはずの時間がもったいないといえます。

 

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